第4章 (第3/3页)
ら、ずーっと一緒にいてもいい)これが、校長先生、小林宗作氏に、初めて遭った日、トットちゃんが感じた、感想だった。そして、有難いことに、校長先生も、トットちゃんと、同じ感想を、その時、持っていたのだった。
お弁当 トットちゃんは、校長先生に連れられて、みんなが、お弁当を食べるところを、見に行くことになった。お昼だけは、電車でなく、「みんな、講堂に集まることになっている」と校長先生が教えてくれた。講堂はさっきトットちゃんが上がってきた石の階段の、突き当たりにあった。いってみると、生徒たちが、大騒ぎをしながら、机と椅子を、講堂に、まーるく輪になるように、並べているところだった。隅っこで、それを見ていたトットちゃんは、校長先生の上着を引っ張って聞いた。「他の生徒は、どこにいるの?」 校長先生は答えた。「これで全部なんだよ」「全部!?」トットちゃんは、信じられない気がした。だって、前の学校の一クラスと同じくらいしか、いないんだもの。そうすると、「学校中で、五十人くらいなの?」校長先生は、「そうだ」といった。トットちゃんは、なにもかも、前の学校と違ってると思った。 みんなが着着席すると、校長先生は、「みんな、海のものと、山のもの、もって来たかい?」と聞いた。 「はーい」 みんな、それぞれの、お弁当の、ふたを取った。 「どれどれ」 校長先生は、机で出来た円の中に入ると、ひとりずる、お弁当をのぞきながら、歩いている。生徒たちは、笑ったり、キイキイいったり、にぎやかだった。 「海のものと、山のもの、って、なんだろう」 トットちゃんは、おかしくなった。でも、とっても、とっても、この学校は変わっていて、面白そう。お弁当の時間が、こんなに、愉快で、楽しいなんて、知らなかった。トットちゃんは、明日からは、自分も、あの机に座って、「海のものと、山のもの」の弁当を、校長先生に見てもらうんだ、と思うと、もう、嬉しさと、楽しさで、胸がいっぱいになり、叫びそうになった。 お弁当を、のぞきこんでる校長先生の肩に、お昼の光が、やわらかく止まっていた。
今日から学校に行く きのう、「今日から、君は、もう、この学校の生徒だよ」、そう校長先生に言われたトットちゃんにとって、こんなに次の日が待ち遠しい、ってことは、今までになかった。だから、いつもなら朝、ママが叩き起こしても、まだベッドの上でぼんやりしてることの多いトットちゃんが、この日ばかりは、誰からも起こされない前に、もうソックスまではいて、ランドセルを背負って、みんなの起きるのを待っていた。 この家の中で、いちばん、きちんと時間を守るシェパードのロッキーは、トットちゃんの、いつもと違う行動に、怪訝そうな目を向けながら、それでも、大きく伸びをすると、トットちゃんにぴったりとくっついて、(何か始まるらしい)ことを期待した。