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第4章

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    第4章 (第2/3页)

っているのだから。トットちゃんの話によると、よその家の庭をつっきって垣根をもぐったり、原っぱの鉄条網をくぐるとき、「こんなになっちゃうんだ」ということなのだけれど、とにかく、そんな具合で、結局、今朝、家をでるとき、ママの手製の、しゃれたのは、どれもビリビリで、仕方なく、前に買ったのを着てきたのだった。それはワンピースで、エンジとグレーの細かいチェックで、布地はジャージーだから、悪くはないけど、衿にしてある、花の刺繍の、赤い色が、ママは、「趣味が悪い」といっていた。そのことを、トットちゃんは、思い出したのだった。だから、急いで椅子から降りると、衿を手で持ち上げて、先生のそばに行き、こういった。「この衿ね、ママ、嫌いなんだって!」 それをいってしまったら、どう考えてみても、本当に、話しはもう無くなった。トットちゃんは(少し悲しい)と思った。トットちゃんが、そう思ったとき、先生が立ち上がった。そして、トットちゃんの頭に、大きく暖かい手を置くと、「じゃ、これで、君は、この学校の生徒だよ」そういった。……その時,トットちゃんは、なんだか、生まれて初めて、本当に好きな人にあったような気がした。だって、生まれてから今日まで、こんな長い時間、自分の話を聞いてくれた人は、いなっかたんだもの。そして、その長い時間の間、一度だって、あくびをしたり、退屈そうにしないで、トットちゃんが話してるのと同じように、身を乗り出して、一生懸命、聞いてくれたんだもの。\ トットちゃんは、このとき、まだ時計が読めなかったんだけど、それでも長い時間、と思ったくらいなんだから、もし読めたら、ビックリしたに違いない。そして、もっと先生に感謝したに違いない。というのは、トットちゃんとママが学校に着いたのが八時で、校長室で全部の話が終わって、トットちゃんが、この学校の生徒になった、と決まったとき、先生が懐中時計を見て、「ああ、お弁当の時間だな」といったから、つまり、たっぷり四時間、先生は、トットちゃんの話を聞いてくれたことになるのだった。後にも先にも、トットちゃんの話を、こんなにちゃんと聞いてくれた大人は、いなかった。それにしても、まだ小学校一年生になったばかりのトットちゃんが、四時間も、一人でしゃべるぶんの話しがあったことは、ママや、前の学校の先生が聞いたら、きっと、ビックリするに違いないことだった。 このとき、トットちゃんは、まだ退学のことはもちろん、周りの大人が、手こずってることも、気がついていなかったし、もともと性格も陽気で、忘れっぽいタチだったから、無邪気に見えた。でも、トットちゃんの中のどこかに、なんとなく、疎外感のような、他の子供と違って、ひとりだけ、ちょっと、冷たい目で見られているようなものを、おぼろげには感じていた。それが、この校長先生といると、安心で、暖かくて、気持ちがよかった。(この人とな

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