最新网址:m.llskw.org
第13章 (第1/3页)
こんなときは、パパの練習所を、のぞきに行くときに決まっていた。普段のトットちゃんは、大急行で走っているとか、落としたものを探すためにキョロキョロしながら行ったり来たりとか、よその家の庭を、次々と、突っ切って、垣根から、もぐって出たり入ったりしながら進んで行く、という風だった。だから、今日みたいな恰好で歩いているのは珍しく、そういうときは、「練習所だナ」って、すぐわかった。練習所は、トットちゃんの家から、五分くらいの所にあった。トットちゃんのパパは、オーケストラの、コンサート?マスターだった。コンサート?マスターっていうのは、ヴァイオリンを弾くんだけど、トットちゃんが面白いと思ったのは、いつか、演奏会に連れってもらった時、みんなが拍手したら、汗ビッショリの指揮者のおじさんが、クルリと客席のほうに振り向くと、指揮台を降りて、すぐ隣に座って弾いていたトットちゃんのパパと握手したことだった。そして、パパが立つと、オーケストラのみんなが、一斉に立ち上がった。「どうして、握手するの?」 小さい声でトットちゃんが聞くと、ママは、「あれは、パパ達が一生懸命、演奏したから、指揮者が、パパに代表して、「ありがとう」という意味で握手をしたのよ」と教えてくれた。トットちゃんが練習所が好きなわけは、学校は子供ばっかりなのに、ここは大人ばっかり集まっていて、しかも、いろんな楽器で音楽をやるし、指揮者のローゼンシュトックさんの日本語が面白いからだった。ローゼンシュトックは、ヨーゼンシュトックといって、ヨーロッパでは、とても有名な指揮者だったんだけど,ヒットラーという人が、こわいことをしようとするので、音楽を続けるために、逃げて、こんな遠い日本まで来たのだ、とパパが説明してくれた。パパは、ローゼンシュトックさんを尊敬しているといった。トットちゃんには、まだ世界情勢がわからなかったけど、この頃、すでに、ヒットラーは、ユダヤ人の弾圧を始めていたのだった。もし、こういうことだなかったら、ローゼンシュトックは、日本に来るはずもない人だったし、また、山田耕作が作った、このオーケストラも、こんなに急速に、世界的指揮者によって、成長することもなかったのかも知れない。とにかく、ローゼンシュトックは、ヨーロッパの一流オーケストラと同じ水準の演奏を要求した。だから、ローゼンシュトックは、いつも練習の終わりには、涙を流して泣くのだった。「私が、これだけ一生懸命やってるのに、君達、オーケストラは、それに、こたえてくれない」すると、ローゼンシュトックが、練習で休んだりしたときに、代理で指揮をする、チェロのトップの斉藤秀雄さんが、一番、ドイツ語が上手だったので、「みんなは、一生懸命やっているのだけど、技術が、おいつかないのです。絶対に、さざとではない
(本章未完,请点击下一页继续阅读)
最新网址:m.llskw.org