返回

第16章

首页
关灯
护眼
字:
上一页 回目录 下一页 进书架
    第16章 (第2/3页)

までもいつまでもさまよいつづけていた。

    僕はそんな闇の中に何度も手をのばしてみた。指は何にも触れなかった。その小さな光はいつも僕の指のほんの少し先にあった。

    四

    夏休みのあいだに大学の機動隊の出動を要請し、機動隊はバリケードを叩きつぶし、中に籠っていた学生の全員逮捕した。その当時はどこの大学でも同じようなことをやっていたし、特に珍しい出来事ではなかった。大学は解体なんてはしなかった。大学には大量の資本が投下されているし、そんなものが学生が暴れたくらいで「はい、そうですか」とおとなしく解体されるわけがないのだ。そして大学をバリケード封鎖した連中も本当に大学を解体したいなんて思っていたわけではなかった。彼らは大学という機構のイニシアチブの変更を求めていただけだったし、僕にとってはイニシアチブがどうなるかなんてまったくどうでもいいことだった。だからストがたたきつぶされたところで、特になんの感慨も持たなかった。

     僕は九月になって大学がほとんど廃墟と化していることを期待していってみたのだが、大学はまったく無傷だった。図書館の本も略奪されることなく、教授室も破壊しつくされることはなく、学生課の建物も焼け落ちてはいなかった。あいつら一体何してたんだと僕は愕然とし思った。

     ストが解除され機動隊の占領下で講義が再開されると、いちばん最初に出席してきたのはストを指導した立場にある連中だった。彼らは何事もなかったように教室に出てきてノートをとり、名前を呼ばれると返事をした。これはどうも変な話だった。なぜならスト決議はまだ有効だったし、誰もスト終結を宣言していなかったからだ。大学が機動隊を導入してバリケードを破壊しただけのことで、原理的にはストはまだ継続しているのだ。そして彼らはスト決議のときには言いたいだけ元気なことを言って、ストに反対する(あるいは疑念を表明する)学生を罵倒し、あるいは吊るし上げたのだ。僕は彼らのところに行って、どうしてストを続けないで講義にでてくるのか、と訊いてみた。彼らには答えられなかった。答えられるわけがないのだ。彼らは出席不足で単位を落とすのが怖いのだ。そんな連中が大学解体を呼んでいたのかと思うとおかしくて仕方なかった。そんな下劣な連中が風向きひとつで大声を出したり小さくなったりするのだ。

     おいキズキ、ここはひどい世界だよ、と僕は思った。こういう奴らがきちんと大学の単位をとって社会に出て、せっせと下劣な社会を作るんだ。

     僕はしばらくのあいだ講義に出ても出席をとるときには返事をしないことにした。そんなことをしたって何の意味もないことは

    (本章未完,请点击下一页继续阅读)
上一页 回目录 下一页 存书签