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第34章

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    第34章 (第2/3页)

ーがムンクの絵をもとに漫画映画を作ったらあるいはこんな風になるのかもしれないなと僕はふと思った。建物はどれもまったく同じかたちをしていて、同じ色に塗られていた。かたちはほぼ立方体に近く、左右が対称で入口が広く、窓がたくさんついていた。その建物のあいだをまるで自動車教習所のコースみたいにくねくねと曲った道が通っていた。どの建物の前にも草花が植えられ、よく手入れされていた。人影はなく、どの窓もカーテンが引かれていた。

    「ここはC地区と呼ばれているところで、ここには女の人たちが住んでいるの。つまり私たちよね。こういう建物が十棟あって、一棟が四つに区切られて、一区切りに二人住むようになってるの。だから全部で八十人は住めるわけよね。今のところ三十二人しか住んでないけど」

    「とても静かですね」と僕は言った。

    「今の時間は誰もいないのよ」とレイコさんは言った。「私はとくべつ扱いだから今こうして自由にしてるけれど、普通の人はみんなそれぞれのカリキュラムに従って行動してるの。運動している人もいるし、庭の手入れしている人もいるし、グループ療法している人もいるし、外に出て山菜を集めている人たちもいるし。そういうのは自分で決めてカリキュラムを作るわけ。直子は今何してたっけ?壁紙の貼り替えとかペンキの塗り替えとかそういうのやってるんじゃなかったかしらね。忘れちゃったけど。そういうのがだいたい五時くらいまでいくつかあるのよ」

    彼女は<C-7>という番号のある棟の中に入り、つきあたりの階段を上って右側のドアを開けた。ドアには鍵がかかっていなかった。レイコさんは僕に家の中を案内して見せてくれた。居間とベッドルームとキッチンとバスルームの四室から成ったシンプルで感じの良い住居で、余分な飾りつけもなく、場違いな家具もなく、それでいて素っ気ないという感じはしなかった。とくに何かがどうというのではないのだが、部屋の中にいるとレイコさんを前にしている時と同じように、体の力を抜いてくつろぐことができた。居間にはソファーがひとつとテーブルがあり、揺り椅子があった。キッチンには食事用のテーブルがあった。どちらのテーブルの上にも大きな灰皿が置いてあった。ベッドルームにはベッドがふたつと机がふたつとクローゼットがあった。ベッドの枕元には小さなテーブルと読書灯があり、文庫本が伏せたまま置いてあった。キッチンには小型の電気のレンジと冷蔵庫がセットになったものが置いてあって、簡単な料理なら作れるようになっていた。

    「お風呂はなくてシャワーだけだけどまあ立派なもんでしょう?」とレイコさんは言った。「お風呂と洗濯設備は共同なの」

    「十分すぎるくらい立派ですよ。僕の住んでる寮なんて天井と窓

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