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第37章

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    第37章 (第2/3页)

にストイックな人だね」

    「そんなに沢山女性と寝てストイックっていうのも変な話ね」と直子は笑って言った。「何人と寝たんだって?」

    「たぶんもう八十人くらいは行ってるんじゃないかな」と僕は言った。「でも彼の場合相手の女の数が増えれば増えるほど、そのひとつひとつの行為の持つ意味はどんどん薄まっていくわけだし、それがすなわちあの男の求めていることだと思うんだ」

    「それがストイックなの?」と直子が訊ねた。

    「彼にとってはね」

    直子はしばらく僕の言ったことについて考えていた。「その人、私よりずっと頭がおかしいと思うわ」と彼女は言った。

    「僕もそう思う」と僕は言った。「でも彼の場合は自分の中の歪みを全部系統だてて理論化しちゃったんだ。ひどく頭の良い人だからね。あの人をここに連れてきてみなよ、二日で出ていっちゃうね。これも知ってる、あれももう知ってる、うんもう全部わかったってさ。そういう人なんだよ。そういう人は世間では尊敬されるのさ」

    「きっと私、頭悪いのね」と直子は言った。「ここのことまだよくわかんないもの。私自身のことがまだよくわかんないように」

    「頭が悪いんじゃなくて、普通なんだよ。僕にも僕自身のことでわからないことはいっぱいある。それは普通の人だもの」

    直子は両脚をソファーの上にので、折りまげてその上に顎をのせた。「ねえ、ワタナベ君のことをもっと知りたいわ」と彼女は言った。

    「普通の人間だよ。普通の家に生まれて、普通に育って、普通の顔をして、普通の成績で、普通のことを考えている」と僕は言った。

    「ねえ、自分のこと普通の人間だという人間を信用しちゃいけないと書いていたのはあなたの大好きなスコット?フィッツジェラルドじゃなかったかしら?あの本、私あなたに借りて読んだのよ」と直子はいたずらっぽく笑いながら言った。

    「たしかに」と僕は認めた。「でも僕は別に意識的にそうきめつけてるんじゃなくてさ、本当に心からそう思うんだよ。自分が普通の人間だって。君は僕の中に何か普通じゃないものがみつけられるかい?」

    「あたりまえでしょう」と直子はあきれたように言った。「あななそんなこともわからないの?そうじゃなければどうして私があなたと寝たのよ?お酒に酔払って誰でもいいから寝ちゃえと思ってあなたとそうしちゃったと考えてるの?」

    「いや、もちろんそんなことは思わないよ」と僕は言った。

    直子は自分の足の先を眺めながら

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