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第37章

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    第37章 (第3/3页)

ずっと黙っていた。僕も何を言っていいのかわからなくてワインを飲んだ。

    「ワタナベ君、あなた何人くらいの女の人と寝たの?」と直子がふと思いついたように小さな声で訊いた。

    「八人か九人」と僕は正直に答えた。

    レイコさんが練習を止めてギターをはたと膝の上に落とした。「あなたまだ二十歳になってないでしょう?いったいどういう生活してんのよ、それ?」

    直子は何も言わずにその澄んだ目でじっと僕を見ていた。僕はレイコさんに最初の女の子と寝て彼女と別れたいきさつを説明した。僕は彼女を愛することがどうしてもできなかったのだといった。それから永沢さんに誘われて知らない女の子たちと次々寝ることになった事情も話した。「いいわけするんじゃないけど、辛かったんだよ」と僕は直子に言った。「君と毎週のように会って、話をしていて、しかも君の心の中にあるのがキズキのことだけだってことがね。そう思うととても辛かったんだよ。だから知らない女の子と寝たんだと思う」

    直子は何度か首を振ってから顔を上げてまた僕の顔を見た。「ねえ、あなたあのときどうしてキズキ君と寝なかったのかと訊いたわよね?まだそのこと知りたい?」

    「たぶん知ってた方がいいんだろうね」と僕は言った。

    「私もそう思うわ」と直子は言った。「死んだ人はずっと死んだままだけど、私たちはこれからも生きていかなきゃならないんだもの」

    僕は肯いた。レイコさんはむずかしいパーセージを何度も何度もくりかえして練習していた。

    「私、キズキ君と寝てもいいって思ってたのよ」と直子は言って髪留めをはずし、髪を下ろした。そして手の中で蝶のかたちをしたその髪留めをもてあそんでいた。「もちろん彼は私と寝たかったわ。だから私たち何度も何度もためしてみたのよ。でも駄目だったの。できなかったわ。どうしてできないのか私には全然わかんなかったし、今でもわかんないわ。だって私はキズキ君のことを愛していたし、べつに処女性とかそういうのにこだわっていたわけじゃないんだもの。彼がやりたいことなら私、何だって喜んでやってあげようと思ってたのよ。でも、できなかったの」

    直子はまた髪を上にあげて、髪留めで止めた。

    「全然濡れなかったのよ」と直子は小さな声で言った。「開かなかったの、まるで。だからすごく痛くて。乾いてて、痛いの。いろんな風にためしてみたのよ、私たち。でも何やってもだめだったわ。何かで湿らせてみてもやはり痛いの。だから私ずっとキズキ君のを指とか唇とかでやってあげてたの……わかるでしょう?
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