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第40章

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    第40章 (第2/3页)

私、彼に結婚することはできないって言ったの。あなたは良い人だと思うし好意を抱いてはいるけれど、いろいろ事情があってあなたと結婚することはできないんだって。彼はその事情を聞きたがったから、私は全部正直に説明したわ。二回頭がおかしくなって入院したことがあるんだって。細かいところまできちんと話したわよ。何が原因で、それでこういう具合になったし、これから先だってまた同じようなことが起るかもしれないってね。少し考えさせてほしいって彼が言うからどうぞゆっくり考えて下さいって私言ったの。全然急がないからって。次の週彼がやってきてやはり結婚したいって言ったわ。それで私言ったの。三ヶ月待ってって。三ヶ月二人でおつきあいしましょう。それでまだあなたに結婚したいと言う気持があったら、その時点で二人でもう一度話しあいましょうって。

    三ヶ月間、私たち週に一度デートしたの。いろんなところに行って、いろんな話をして。それで私、彼のことがすごく好きになったの。彼と一緒にいると私の人生がやっと戻ってきたような気がしたの。二人でいるとすごくほっとしてね、いろんな嫌なことが忘れられたの。ピアニストになれなくったって、精神病で入院したことがあったって、そんなことで人生が終っちゃったわけじゃないんだ、人生には私の知らない素敵なことがまだいっぱい詰まっているんだって思ったの。そしてそういう気持にさせてくれたことだけで、私は彼に心から感謝したわ。三ヶ月たって、彼はやはり私と結婚したいって言ったの。『もし私と寝たいのなら寝ていいわよ』って私は言ったの。『私、まだ誰とも寝たことないけれど、あなたのことは大好きだから、私を抱きたければ抱いて全然構わないのよ。でも私と結婚するっていうのはそれとはまったく別のことなのよ。あなたは私と結婚することで、私のトラブルも抱えこむことになるのよ。これはあなたが考えているよりずっと大変なことなのよ。それでもかまわないの』って。

    構わないって彼は言ったわ。僕はただ単に寝たいわけじゃないんだ、君と結婚したいんだ、君の中の何もかも君と共有したいんだってね。そして彼は本当にそう思ってたのよ。彼は本当に思っていることしか口に出さない人だし、口にだしたことはちゃんと実行する人なのよ。いいわ、結婚しましょうって言ったわ。だってそう言うしかないものね。結婚したのはその四ヶ月後だったかな。彼はそのことで彼の両親と喧嘩して絶縁しちゃったの。彼の家は四国の田舎の旧家でね、両親が私のことを徹底的に調べて、入院歴が二回あることがわかっちゃったのよ。それで結婚に反対して喧嘩になっちゃったわけ。まあ反対するのも無理ないと思うけれどね。だから私たち結婚式もあげなかったの。役所に行って婚姻届けだして、箱根に二泊

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