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第43章

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    第43章 (第1/3页)

俺本当に病院って弱いんだとかなんとか言ってね」直子はそう言って笑った。「そういう面ではあの人はずっと子供のままだったのよ。だってそうでしょう?病院の好きな人なんてどこにもいやしないわよ。だからこそ人は慰めにお見舞いに来るんじゃない。元気出しなさいって。そういうのがあの人ってよくわかってなかったのよね」

    「でも僕と二人で病院に行ったときはそんなにひどくなかったよ。ごく普通にしてたもの」

    「それはあなたの前だったからよ」と直子は言った。「あの人、あなたの前ではいつもそうだったのよ。弱い面は見せるまいって頑張ってたの。きっとあなたのことを好きだったのね、キズキ君は。だから自分の良い方の面だけを見せようと努力していたのよ。でも私と二人でいるときの彼はそうじゃないのよ。少し力を抜くのよね。本当は気分が変りやすい人なの。たとえばべらべらと一人でしゃべっりまくったかと思うと次の瞬間にはふさぎこんだりね。そういうことがしょっちょうあったわ。子供の頃からずっとそうだったの。いつも自分を変えよう、向上させようとしていたけれど」

    直子はソファーの上で脚を組みなおした。

    「いつも自分を変えよう、向上させようとして、それが上手くいかなくて苛々したり悲しんだりしていたの。とても立派なものや美しいものを持っていたのに、最後まで自分に自信が持てなくて、あれもしなくちゃ、ここも変えなくちゃなんてそんなことばかり考えていたのよ。可哀そうなキズキ君」

    「でももし彼が自分の良い面だけを見せようと努力していたんだとしたら、その努力は成功していたみたいだね。だって僕は彼の良い面しか見えなかったもの」

    直子は微笑んだ。「それを聞いたら彼きっと喜ぶわね。あなたは彼のたった一人の友だちだったんだもの」

    「そしてキズキも僕にとってたった一人の友だちだったんだよ」と僕は言った。「その前にもそのあとにも友だちと呼べそうな人間なんて僕にはいないんだ」

    「だから私、あなたとキズキ君と三人でいるのけっこう好きだったのよ。そうすると私キズキ君の良い面だけ見ていられるでしょう。そうすると私、すごく気持が楽になったの。安心していられるの。だから三人でいるの好きだったの。あなたがどう思っていたのかは知らないけれど」

    「僕は君がどう思っているのか気になってたな」と僕は言って小さく首を振った。

    「でもね、問題はそういうことがいつまでもつづくわけはないってことだったのよ。そういう小さな輪みたいなものが永遠に維持されるわけはないのよ。それはキズキ君にもわかっていたし、

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