第74章 (第2/3页)
緑のことを考えてマスターペーションしてみたことを思いだした。僕はまわりに聞こえないように小声で緑にそのことを話した。
緑は顔を輝かせて指をぱちんと鳴らした。「どうだった?上手く行った?」
「途中でなんだか恥ずかしくなってやめちゃったよ」
「立たなくなっちゃったの?」
「まあね」
「駄目ねえ」と緑は横目で僕を見ながら言った。「恥ずかしがったりしちゃ駄目よ。すごくいやらしいこと考えていいから。ね、私がいいって言うからいいんじゃない。そうだ、今度電話で言ってあげるわよ。ああ……そこいい……すごく感じる……駄目、私、いっちゃう……ああ、そんなことしちゃいやっ……とかそういうの。それを聞きながらあなたがやるの」
「寮の電話は玄関わきのロビーにあってね、みんなそこの前を通って出入りするだよ」と僕は説明した。「そんなところでマスターペーションしてたら寮長に叩き殺されるね、まず間違いなく」
「そうか、それは弱ったわね」
「弱ることないよ。そのうちにまた一人でなんとかやってみるから」
「頑張ってね」
「うん」
「私ってあまりセクシーじゃないのかな、存在そのものが?」
「いや、そういう問題じゃないんだ」と僕は言った。「なんていうかな、立場の問題なんだよね」
「私ね、背中がすごく感じるの。指ですうっと撫でられると」
「気をつけるよ」
「ねえ、今からいやらしい映画観に行かない?ばりばりのいやらしいSM」と緑は言った。
僕と緑は鰻屋に入って鰻を食べ、それから新宿でも有数のうらさびれた映画館に入って、成人映画三本立てを見た。新聞を買って調べるとそこでしかSMものをやっていなかったからだ。わけのわからない臭いのする映画館だった。うまい具合に我々が映画館に入ったときにそのSMものが始まった。OLのお姉さんと高校生の妹が何人かの男たちにつかまってどこかに監禁され、サディスティックにいたぶられる話だった。男たちは妹をレイプするぞと脅してお姉さんに散々ひどいことをさせるのだが、そうこうするうちにお姉さんは完全なマゾになり、妹の方はそういうのを目の前で逐一見せられているうちに頭がおかしくなってしまうという筋だった。雰囲気がやたら屈折して暗い上に同じようなことばかりやっているので、僕は途中でいささか退屈してしまった。
「私が妹だったらあれくらいで気が狂ったりしないわね。もっとじっと
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