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第74章 (第1/3页)
」
「どうして?」と言って緑は虚無をのぞきこむような目で僕を見た。「どうしてって、どういうことよ、それ?」
「つまり、どうして僕のことを思いだすかってことだよ」
「あなたのこと好きだからに決まっているでしょうが。他にどんな理由があるっていうのよ?いったいどこの誰が好きでもない相手と一緒いたいと思うのよ?」
「だって君には恋人がいるし、僕のこと考える必要なんてないじゃないか?」と僕はウィスキー?ソーダをゆっくり飲みながら言った。
「恋人がいたらあなたのことを考えちゃいけないわけ?」
「いや、べつにそういう意味じゃなくて――」
「あのね、ワタナベ君」と緑は言って人さし指を僕の方に向けた。「警告しておくけど、今私の中にはね、一ヶ月ぶんくらいの何やかやが絡みあって貯ってもやもやしてるのよ。すごおく。だからそれ以上ひどいことを言わないで。でないと私ここでおいおい泣きだしちゃうし、一度泣きだすと一晩泣いちゃうわよ。それでもいいの?私はね、あたりかまわず獣のように泣くわよ。本当よ」
僕は肯いて、それ以上何も言わなかった。ウィスキー?ソーダの二杯目を注文し、ピスタチオを食べた。シェーカが振られたり、グラスが触れ合ったり、製氷機の氷をすくうゴソゴソという音がしたりするうしろでサラ?ヴォーンが古いラブ?ソングを唄っていた。
「だいたいタンポン事件以来、私と彼の仲はいささか険悪だったの」と緑は言った。
「タンポン事件?」
「うん、一ヶ月くらい前、私と彼と彼の友だちの五、六人くらいでお酒飲んでてね、私、うちの近所のおばさんがくしゃみしたとたんにスポッとタンポンが抜けた話をしたの。おかしいでしょう?」
「おかしい」と僕は笑って同意した。
「みんなにも受けたのよ、すごく。でも彼は怒っちゃったの。そんな下品な話をするなって。それで何かこうしらけちゃって」
「ふむ」と僕は言った。
「良い人なんだけど、そういうところ偏狭なの」と緑は言った。「たとえば私が白以外の下着をつけると怒ったりね。偏狭だと思わない、そういうの?」
「うーん、でもそういうのは好みの問題だから」と僕は言った。僕としてはそういう人物が緑を好きになったこと自体が驚きだったが、それは口に出さないことにした。
「あなたの方は何してたの?」
「何もないよ。ずっと同じだよ」それから僕は約束どおり
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