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第75章 (第1/3页)
「楽しかった」と緑は言った。「また今度行きましょうね」
「何度見たって同じようなことしかやらないよ」と僕は言った。
「仕方なしでしょ、私たちだってずっと同じようなことやってるんだもの」
そう言われて見ればたしかにそのとおりだった。
それから僕らはまたどこかのバーに入ってお酒を飲んだ。僕はウィスキーを飲み、緑はわけのわからないカクテルを三、四杯飲んだ。店を出ると木のぼりしたいと緑が言いだした。
「このへんに木なんてないよ。それにそんなふらふらしてちゃ木になんてのぼれないよ」と僕は言った。
「あなたっていつも分別くさいこと言って人を落ちこませるのね。酔払いたいから酔払ってるのよ。それでいいんじゃない。酔払ったって木のぼりくらいできるわよ。ふん。高い高い木の上にのぼっててっぺんから蝉みたいにおしっこしてみんなにひっかけてやるの」
「ひょっとして君、トイレに行きたいの?」
「そう」
僕は新宿駅の有料トイレまで緑をつれていって小銭を払って中に入れ、売店で夕刊を買ってそれを読みながら彼女が出てくるのを待った。でも緑はなかなか出てこなかった。十五分たって、僕が心配になってちょっと様子を見に行ってみようかと思う頃にやっと彼女が外に出てきた。顔色はいくぶん白っぽくなっていた。
「ごめんね。座ったままうとうと眠っちゃったの」と緑は言った。
「気分はどう?」と僕はコートを着せてやりながら訊ねた。
「あまり良くない」
「家まで送るよ」と僕は言った。「家に帰ってゆっくり風呂にでも入って寝ちゃうといいよ。疲れてるんだ」
「家なんか帰らないわよ。今家に帰ったって誰もいないし、あんなところで一人で寝たくなんかないもの」
「やれやれ」と僕は言った。「じゃあどうするんだよ?」
「このへんのラブ?ホテルに入って、あなたと二人で抱きあって眠るの。朝までぐっすりと。そして朝になったらどこかそのへんでごはん食べて、二人で一緒に学校に行くの」
「はじめからそうするつもりで僕を呼びだしたの?」
「もちろんよ」
「そんなの僕じゃなくて彼を呼び出せばいいだろう。どう考えたってそれがまともじゃないか。恋人なんてそのためにいるんだ」
「でも私、あなたと一緒いたいのよ」
「そん
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