第76章 (第2/3页)
む」
「お姉さんがそこに来て腰抜かしてね。だって私がお父さんの遺影の前で裸になって股広げてるんですもの、そりゃまあ驚くわよね」
「まあ、そうだろうね」
「それで私、主旨を説明したの。これこれこういうわけなのよ、だからモモちゃんも私の隣に来て服脱いで一緒にお父さんに見せてあげようって。でも彼女やんなかったわ。あきれて向うに行っちゃったの。そういうところすごく保守的なの」
「比較的まともなんだよ」と僕は言った。
「ねえ、ワタナベ君はお父さんのことどう思った?」
「僕は初対面の人ってわりに苦手なんだけど、あの人と二人になっても苦痛は感じなかったね。けっこう気楽にやってたよ。いろんな話したし」
「どんな話したの?」
「エウリビデス」
緑はすごく楽しそうに笑った。「あなたって変ってるわねえ。死にかけて苦しんでいる初対面の病人にいきなりエウリビデスの話する人ちょっといないわよ」
「お父さんの遺影に向って股広げる娘だってちょっといない」と僕は言った。
緑はくすくす笑ってから仏壇の鐘をちーんと鳴らした。「お父さん、おやすみ。私たちこれから楽しくやるから、安心して寝なさい。もう苦しくないでしょ?もう死んじゃったんだもん、苦しくないわよね。もし今も苦しかったら神様に文句言いなさいね。これじゃちょっとひどすぎるじゃないかって。天国でお母さんと会ってしっぽりやってなさい。おしっこの世話するときおちんちん見たけど、なかなか立派だったわよ。だから頑張るのよ。おやすみ」
我々交代で風呂に入り、パジャマに着がえた。僕は彼女の父親が少しだけ使った新品同様のパジャマを借りた。いくぶん小さくはあったけれど、何もないよりはましだった。緑は仏壇のある部屋に客用の布団を敷いてくれた。
「仏壇の前だけど怖くない?」と緑は訊いた。
「怖かないよ。何も悪いことしてないもの」僕は笑って言った。
「でも私が眠るまでそばにいて抱いてくれるわよね?」
「いいよ」
僕は緑の小さなベッドの端っこで何度も下に転げ落ちそうになりながら、ずっと彼女の体を抱いていた。緑は僕の胸に鼻を押しつけ、僕の腰に手を置いていた。僕は右手を彼女の背中にまわし、左手でベッドの枠をつかんで落っこちないように体を支えていた。性的に高揚する環境とはとてもいえない。僕の鼻先に緑の頭があって、その短くカットされた髪がときどき僕の鼻
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