第7章 (第3/3页)
ら次と、何かを発見しては、叫び声を上げた。春の日差しが、少し傾いた。先生は、「帰りましょう」といって、また、みんな、菜の花と桜の木の間も道を、並んで、学校に向かった。子供たちにとって、自由で、お遊びの時間と見える、この「散歩」が、実は、貴重は、理科か、歴史か、生物の勉強になっているのだ、ということを、子供たちは気がついていなかった。トットちゃんは、もう、すっかり、みんなと友達になっていて、前から、ずーっと一緒にいるような気になっていた。だから、帰り道に「明日も、散歩にしよう!」と、みんなに大きい声で言った。みんなは、とびはねながら、いった。「そうしよう」蝶々は、まだまだ忙しそうで、鳥の声が、近くや遠くに聞こえていた。トットちゃんの胸は、なんか、うれしいもので、いっぱいだった。
校歌 トットちゃんには、本当に、新しい驚きで、いっぱいの、トモエ学園での毎日が過ぎていった。相変わらず、学校に早く行きたくて、朝が待ちきれなかった。そして、帰ってくると、犬のロッキーと、ママとパパに、「今日、学校で、どんなことをして、どのくらい面白かった」とか、「もう、びっくりしちゃった」とか、しまいには、ママが、「話は、ちょっとお休みして、おやつにしたら?」というまで、話をやめなかった。そして、これは、どんなにトットちゃんが、学校に馴れてもやっぱり、毎日ように、話すことは、山のように、あったのだった。(でも、こんなに話すことがたくさんあるってことは、有難いこと)と、ママは、心から、嬉しく思っていた。ある日、トットちゃんは、学校に行く電車の中で、突然、「あれ?オモエに校歌って、あったかな?」と考えた。そう思ったら、もう、早く学校に着きたくなって、まだ、あと二つも駅があるのに、ドアのところに立って、自由が丘に電車が着いたら、すぐ出られるように、ヨーイ?ドンの格好で待った。ひとつ前の駅で、ドアが開いたとき、乗り込もうとした、おばさんは、女の子が、ドアのところで、ヨーイ?ドンの形になってるので、降りるのか、と思ったら、そのままの形で動かないので、「どうなっちゃってるのかね」といいながら、乗り込んできた。こんな具合だったから、駅に着いたときの、トットちゃんの早く降りたことといったら、なかった。若い男の車掌さんが、しゃれたポーズで、まだ、完全に止まっていない電車から、プラットホームに片足をつけて、おりながら、「自由が丘!お降りの方は……」といったとき、もう、トットちゃんの姿は、改札口から、見えなくなっていた。学校に着いて、電車の教室に入ると、トットちゃんは、先に来ていた、山内泰二君に、すぐ聞いた。「ねえ、タイちゃん。この学校って、校歌ある?」物理の好きなタイちゃんは、とても、考えそうな声で答えた。「ないんじゃないかな?