第15章 (第2/3页)
がして、いろんな、においがして、今まで見たことのないものだらけだった。赤や黄色やピンクのリリアンにぶら下がったハッカパイプ。犬とか猫とかベティーサンなどの顔がパイプになっている。そして綿アメ、ベッコウアメ。ずんだ音がする山吹鉄砲.あと、刀を飲み込んだり、ガラスを食べちゃうおじさんが、芸を道で見せてるかと思うと、お丼のヘリにつけると、お丼がワアーンと鳴る“粉”を売るおじさんも、いる。それから、お金が消えてしまう手品の「金の輪」とか日光写真とか、水中花……。 キョロキョロしながら歩いてるトットちゃんが、 「わあー!」 といって足を止めたもの、それは、真っ黄色のヒヨコだった。小さくて、まん丸のヒヨコは小さい箱の中に、いっぱいいて、みんなピイピイ鳴いていた。「欲しい!」トットちゃんは、パパとママの手を引っ張った。「ねえ、これ買って?」ヒヨコは、トットちゃんのほうを向き、小さい尻尾を振るわせ、くちばしを上に向けて、もっと大きい声で鳴いた。「可愛い……」トットちゃんはしゃがみこんだ。こんなに小さく可愛いものって、前に見たことがない、と思った。「ねえ?」トットちゃんは、パパとママを見上げた。ところがびっくりしたことに、パパとママは、トットちゃんの手を引っ張って、歩き出そうとしたのだった。「ね、何か買ってあげるって言ったじゃないの。私、これ欲しい!」ママが小さい声で言った。「このヒヨコは、すぐ死ぬから、可哀そうなの。およしなさい」「どうして?」トットちゃんは泣き声になった。パパは、ヒヨコの売り屋さんに聞こえないように、少し離れたところで説明した。「あれは、今は可愛いけど、体は弱いからすぐ死んで、トット助が泣く事になるから、パパ達は、いってるんだよ」でも、もうトットちゃんは、ヒヨコを見ちゃったkら、説明を聞きたくなかった。「絶対に死なせない。面倒見るから、お願い?」それでも、パパとママは頑固に、トットちゃんを、ヒヨコの箱の前から、ひっぱった。トットちゃんは、引っ張られながら、ヒヨコ達を見た。ヒヨコは、みんなトットちゃんに連れてって欲しそうに、もっと鳴いた。トットちゃんは、もうヒヨコじゃなきゃ、何も要らないと思った。パパとママに、お辞儀をしていった。「ねえ、お願い。ヒヨコを買ってください。」でも、ママもパパも頑張った。「あなたが泣く事になるから、よしたほうがいいって思うのよ」トットちゃんはベソベソ泣き出した。そして家のほうに泣きながら歩き出した。そして、暗いところまで来たとき、しゃくりあげながらいった。「お願いします。一生のお願い。死ぬまで何か買ってって、いいません。あのヒヨコ買ってください」というとパパもママも折れてしまった。さっき鳴いた烏かもう笑った、というくらい、嬉しそうな顔のトットちゃんの手の中の小さい箱には、二羽のヒヨコが入っていた。次の日、ママが大工さんに頼んで、桟つきの特別製の箱を作っても
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