第16章 (第2/3页)
今、もぐった、ちょっと隣のトゲトゲを、今度は、中から持ち上げ、また穴を掘って、このときは、「では、さようなら」といって、お尻から出る。このとき、つまりお尻から出るときに、スカートがまくれて、パンツがテツジョウモウに引っかかるのだ、と、ママにも、やっとわかった。こんな風に、次々と、穴を掘り、スカートやパンツも引っ掛けながら、「ごめんくださいませ」そして、「では、さようなら」をくり返す。つまり上から見ていたら、垣根の、はしからはしまで、ジグザグに、入ったりでたりするのだから、パンツも破けるわけだった。(それにしても、大人なら、疲れるだけで、何が面白いか、と思えるこういうことが、子供にとっては、本当に楽しいことなんだから、なんて、うらやましいこと……)。ママは、髪の毛は勿論、爪や耳の中まで泥だらけのトットちゃんを見ながら思った。そして、校長先生の、「汚してもかまわない洋服」の提案は、本当に子供のことを、よくわかっている大人の考えだ、といつものことだけど、ママは感心したのだった。
今朝、みんなが校庭で走ったりしてるとき、校長先生が、いった。「新しい友達が来たよ。高橋君だ。一年生の電車の仲間だよ。いいね。」トットちゃん達は、高橋君を見た。高橋君は、帽子を脱いで、おじぎをすると、「こんちは」と、小さい声でいった。トットちゃん達も、まだ一年生で小さかったけど、高橋君は男の子なのに、背がうんと低かったし、手や足も短かった。帽子を握ってる手も小さかった。でも、肩幅はガッシリしていた。高橋君は、心細そうに立っていた。トットちゃんは、ミヨちゃんや、サッコちゃんに、「はなし、してみよう」といって高橋君に近づいた。トットちゃん達が近づくと、高橋君は、人なつっこそうに笑った。だから、トットちゃん達も、すぐ笑った。高橋君の目はクリクリして、何かを話したそうにしている目だった。「電車の教室、見る?」と、トットちゃんが先輩らしく言った。高橋君は、帽子を頭にチョコンと載せると、「うん」といった。トットちゃんは、早く見せたいので、すごい、いきおいで電車の中に入ると、ドアのところで、「早くいらっしゃい!」と呼んだ。高橋君は、忙しそうに歩いていた。でも、まだ、ずーっとむこうのほうにいた。チョコチョコと走るみたいな形で高橋君は言った。「ごめんね、今行くから……」トットちゃんは、小児麻痺の泰明ちゃんみたいに、足を引きずって歩かない高橋君が、なかなか電車に着かないのに気がついた。トットちゃんは、もう叫ばないで、高橋君を見た。高橋君は、一生懸命に、トットちゃんのほうに向かって走っていた。今トットちゃんには、「早く!」っていわなくても、高橋君の急いでいることが、よくわかった。高橋君の足は、とても短くて、ガニ股の形に曲がっていたのだった。先生や大人には
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