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第18章

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    第18章 (第3/3页)

ていたけど、運動会は、とりわけユニークなものだった。普通の小学校と同じものは、綱引きと、二人三脚くらいのもので、あとは全部、校長先生の考えた競技だった。それも、特別な道具を使うとか、大げさなものは、何一つなく、すべて、学校にあるおなじみのもので、まにあった。例えば、「鯉のぼり競争」というのは、出発点から、ヨーイドン!で、少し走って、校庭の真ん中においてある、というか、寝ている、大きい布の鯉のぼりの、口から入って、しっぽから出て、また出発点まで帰って来る、というのだった。鯉は、青い色が二匹と赤いのが一匹で、合計三匹いたから、三人が同時にヨーイドン!で出発した。でも、これは、やさしいようで、案外難しかった。というのは、中に入ると、真っ暗で、胴体が長いから、しばらくゴソゴソやってるうちに、どっちから入ったのかわからなくなって、トットちゃんみたいに、何度も、鯉の口から顔を出して外も見ては、また、急いで中に、もぐっていく、というふうになってしまうからだった。これは、見ている子供たちにとっても、面白かった。というのは、中で誰かがゴソゴソ行ったり来たりしていると、まるで、鯉が生きてるように見えたから。それからまた、「お母さん探し競争」というのもあった。これは、ヨーイドン!で、少し走って、横に長く置いて立ててある、木の梯子の、段と段の間を通り抜け、その向こうにある籠の中の封筒から、紙を取り出し、例えばそれに、\ 「サッコちゃんのお母さん」と書いてあったら、見物人の中に行って、サッコちゃんのお母さんを探し、手をつないでゴールインするのだった。これは、横にしてある梯子の四角い穴をくぐるのだから、よほど猫みたいに、うまくやらないと、お尻とかが引っかかった。それから、「サッコちゃんのお母さん」だったら知ってても、「奥先生のお姉さん」とか、「津江先生のお母さん」とか、「国則先生の息子さん」になると、逢ったことがないから、見物人のところに行って、「奥先生のお姉さん!」と、大きい声で呼ばなきゃならなかったから、少し勇気も必要だった。だから、偶然、自分のお母さんにあたった子は、大喜びで、「お母さん!お母さん!早く!」と、飛び上がりながら叫ぶのだった。そして、この競争は、子供もだけど、見物人も、しっかりしてることが必要だった。子供が次々に走って来て、誰かのお母さんの名前を言うから、呼ばれたお母さんは、ぼんやりしてないで、すぐ、座っているベンチや、ゴザのところから立ち上がって、他の座ってるお父さんやお母さん達の間を、「恐れ入ります」なんていいながら、しかも、急いで、すり抜けて、誰かの子供と手をつないで走らなくちゃいけなかったし。だから、お父さん達も、子供が走って来て、大人の前に止まると、一斉に息を止めて、誰の名前を言うか、その子供に注目した。
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