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第22章

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    第22章 (第3/3页)

にされるのは、うれしいことだもの。大栄君にとっても、この日のことは、強いショックだった。「女の子には、やさしく、親切に!」そして、これは、いつまでも忘れられない思い出になった。どうしてかって、いえば、大栄君がトモエにいた間、校長先生に叱られたのは、後にも先にも、このときだけだったんだから。

    冬休みになった。夏休みと違って、学校に集まることはなくて、みんな、家族と過ごすことになっていた。右田君は、「おじいちゃんのいる九州で、お正月をするんだ!」と、みんなにいいふらしていたし、科学の実験の好きな泰ちゃんは、「お兄さんと、どっかの物理の研究所に見学に行くんだ」と楽しみそうにしていた。みんなも、いろいろいいながら、「またね、またね」と、別れていった。トットちゃんは、パパやママと、スキーだった。パパのお友達で、同じオーケストラのチェリストで指揮者の斉藤秀雄さんが、とても上等のお家を、志賀高原に持っていた。そこに、毎年、冬に、お邪魔するようになっていたので、トットちゃんは、幼稚園の頃から、スキーを始めていた。駅から馬橇に乗って志賀高原に着くと、真っ白の雪の世界で、リフトとか、何にもなくて、すべる所には、ときどき、木の切り株なんかが、出っ張ったりしていた。斉藤さんのお家みたいのが、志賀高原にない人の泊まるところは、旅館が一つと、ホテルが一つあるだけど、ママが言っていた。でも、面白いことに、外国の人が多かった。それまでの年と今年とでトットちゃんが違うことは、一年生になったことと、英語をひとつ、覚えたことだった。パパから教わったのだけど、それは、「サンキュー」というのだった。いつも雪の上にスキーをはいて、トットちゃんが立っていると、外国の人達が、そばを通りながら、みんなトットちゃんに、何か言う。きっと「可愛い」とか、何とか、そんなふうなことだったかも知れないけど、トットちゃんには、わからなかった。だから昨年までは、黙っていたけど、今年からは、そういう時、頭だけ、ちょっと、さげて、「サンキュー」と、いちいち、、いってみた。それを聞くと、外国の人達は、みんな、ますますニコニコして、口々に、何かいって、中には、トットちゃんのほっぺたに、自分のほっぺたをくっつける女の人や、ギューっと、抱き閉める、おじいさんなんかもいた。トットちゃんは、「サンキュー」だけで、みんなと、こんなに、お近づきになれるなんて、面白い、と思っていた。ある日、そんな中にいた、優しそうな若い男の人が、トットちゃんに近づくと、「自分のスキーの、前のところに、乗りませんか?」というジェスチャーをした。パパに聞いたら、「いい」というので、トットちゃんは、「サンキュー」とその人にいった、その人は、自分の足元のスキーの上にトットちゃんをしゃがませると、両方のスキーを揃えたまま、滑り降りた。
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