第23章 (第2/3页)
、すわれたのは半分くらいで、あとは立ったままだった。だから、本当に、それは、満員電車の中で、立ったまま本を読んでるような光景で、見てるだけでも、おかしかった。でも、みんな、もう、うれしくて、たまらなかった。トットちゃんは、まだ、字は、そんなにたくさん読めなかったkら、「面白そうな絵」の入ってる本を読むことにした。みんなが本を手にして、ページをめくり始めると、ちょっと静かになった。でも、それは、ほんのちょっとの間で、そのうち、あっちでも、こっちでも、読みあがる声だの、わからない字を誰かに聞く声だの、本をとりかえっこしようとしてる声だの、笑い声で、いっぱいになった。中には、“歌いながら絵を描く本”というのを読み始めたために、大きい声で、マールコテン マールコテンタテタテ ヨコヨコ丸かいて チョンマール子さん毛が三本 毛が三本 毛が三本あっという間に おかみさん なんて、大きい声で歌いながら、まるまげを結った、お上さんの絵を描いてる子もいた。毎日、自分の好きな科目から勉強してよくて、「“人の声がうるさいと、自分の勉強が出来ない”というようじゃ困る。どんなに、周りが、うるさくても、すぐ集中できるように!」という風に教育されるトモエの子にとっては、このマールコテンも別に気にならず、一緒に同調して歌ってる子もいたけれど、みんな自分の本に、熱中していた。トットちゃんのは、民話の本みたいのだったけど、「おなら」をするので、お嫁にいけないお金持ちの娘が、やっと、お嫁にいけたので、うれしくなって、結婚式の晩、いつもより、もっと大きい、おならをしたので、寝ていたお婿さんが、その風で、部屋を七まわり半して、気絶する、というような話だった。「面白そうな絵」というのは、男の人が、部屋の中を飛んでいるところだった。(この本は、後で、みんなの引っ張りダコになった)とにかく、全校生徒が、ギュウヅメでも、電車の窓から差し込む朝の光の中で、一生懸命、本を読んでる姿は、校長先生にとって、うれしいことに違いなかった。結局、その日は、一日中、みんな図書室で過ごすことになった。そして、それからは、雨で外に出られないときとか、いろんなとき、この図書室は、みんなの集会所にもなった。そして、ある日、校長先生は、いった。「そのうち、図書室の近くに便所を作ろうな」なぜなら、みんな、ギリギリまで我慢して本を読むので、誰もが、すごい恰好で、講堂の向こうのトイレまで、走って行くからだった。
今日の午後のことだった。放課後、家に帰ろうと支度をしてるトットちゃんのところに、大栄君が、走って来て、声をひそめて、いった。「校長先生が、怒ってる」「どこで?」と、トットちゃんは聞いた。だって、校長先生が怒るなんて、それまで知らなかったから、とっても、びっくり
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