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第25章 (第1/3页)
それにしても、当時五十歳の、この石井漠は、小さいトットちゃんにも、心をこめて、「自由に踊る楽しさ」を教えてくれようとしたのだった。
「いいかい?今日の先生だよ。何でも教えてくださるからね」校長先生は、こう言って、一人の男の先生を、みんなに紹介した。トットちゃんは、つくづくとその先生を観察した。何しろ、その先生の恰好は、変わっていた。上着は縞のハンテンで、胸からは、メリヤスのシャツが、のぞいていて、ネクタイの変わりに、首には手ぬぐいが、ぶら下がっていた。そして、ズボンは、紺の木綿のバッチ風の細いのだし、靴じゃなくて、地下足袋だった。おまけに、頭には、少し破れた麦藁帽子をかぶっていた。今トットちゃん達が、どこにいるのか、といえば、九品仏の池のほとりだった。しばらく、その先生をジロジロ見ていたトットちゃんは、その先生に、見覚えがあることを発見した。「えーと、えーと…」顔色は日焼けして、真っ黒だった。そして、その顔に、しわはあるけど、やさしそうだった。腰に結んであるベルトみたいな黒い紐にぶら下げてあるキセルも、何か始めて見る感じじゃなかった…… (わかった!)トットちゃんは、思い出した。「ねえ、先生って、いつも、あそこの川のそばの畠にいる、お百姓さんじゃないの?」トットちゃんは、すっかり、うれしくなって、いった。すると、地下足袋の、その先生は、白い歯を見せ、顔中を、しわくちゃにして、笑っていった。「そうだよ。みんな、九品仏のお寺に散歩に行くとき、家のそばを通るじゃねえの?今、菜の花が咲いてる、あすこの畠。あれが家のだから」「わあ!おじさんが、今日は先生なのか!?」トットちゃん達は、すっかり興奮した。人の良さそうな、おじさんは手を振っていった。「いやいや、私は先生なんかじゃなくて、百姓です。今日は、校長先生に頼まれたんでね」校長先生は、お百姓さん先生の隣に並ぶと、いった。「いや、これから、畠の作り方を、あなたに教えてもらうのだから。畠のことについては、あなたは先生です。パンの作り方を習うときは、パン屋さんに先生になってもらうのと同じです。さあ、どんどん、子供たちに指図して、始めてください」きっと、普通の小学校では、生徒に、何かを教える人には、「先生の資格」とか、いろいろ規則があるだろうけど、小林先生は、かまわなかった。子供たちに、「本物」を見せることが必要なのだし、それが、大切なことだ、と先生は考えていた。「じゃ、始めっかな」畠の先生にいった。みんなの、立っている場所は、九品仏の池にまわりでも、特に静かなところにあり、木が池に影を落としているという、感じのいいところだった。校長先生は、すでに、スコップとか、くわ、とか、そのほか、畠に必要な道具をしまっておく物置にするために、普通の一台の半分の電車を、運んで来てあった
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