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第28章

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    トットちゃんの前の学校のときも、そうだったけど、小学生が、「はやし歌」を、声をそろえて歌うのが、はやっていた。例えば、トットちゃんが、退学になった、その前の学校では、放課後、学校の門を出てから、自分たちの校舎を振り返りながら、生徒たちは、こう歌った。「赤松学校、ボロ学校!入ってみたら、いい学校!」そして、このとき、たまたま、よその学校の子が通りかかったりすると、その、よその子は、赤松小学校のほうを指さしながら、こう大声で、けなした。「赤松学校、いい学校!入ってみたら、ボロ学校!わーい!!」どうやら、建物が、新しいとか、古いとかいう、見たところで、「ボロ」か、どうか決めるんだけど、やはり大切なのは、「入ってみたら……」のところで、子供とはいっても、学校は、建物より、内容で、「入ってみたら、いい学校!」のほうが、「いい」という真実をついてるところも、この歌には、あった。この「はやし歌」は、もちろん、一人のときは、歌わなくて、五人とか六人とか、人数の多いときに、やるのだった。さて、今日の午後のことだった。トモエの生徒は、みんな放課後、思い思いのことをして、遊んでいた。みんなが決めた呼び方、“追い出しのベル”という最終的なベルがなるまで、好きなことをしていて、いいのだった。校長先生は、子供に、自分の好きなことをさせる自由時間が、とても大切と考えていたから、放課後の、この時間は、ふつうの小学校より、少し長めに、とっていた。校庭でボール遊びをする子、鉄棒や、お砂場で、ドロンコになっている子、花壇の手入れをする子もいたし、ポーチ風の小さい階段に腰をかけて、お茶べりしてる上級生の女の子もいた。それから、木登りの子もいた。みんな勝手にやっていた。中には、泰ちゃんのように、教室に残って、物理というか、化学の続きのフラスコを、ブクブクさせたり、試験管などを、あれこれテストしたりしてる子もいたし、図書室で、本を読んでいる子だの、動物好きの天寺君のように、拾って来た猫を、ひっくり返したり、耳の中を、のぞきこんで研究してる子もいた。とにかく、みんな、楽しんでいた。

    お弁当が終わって、お昼休みになったときだった。トットちゃんが、スキップしながら、行動を横切ろう、としたところで、校長先生に逢った。逢った、といっても、さっき一緒に、お弁当をたべたばっかりだったんだけど、とにかく、トットちゃんと、反対のほうから、先生が来たから、逢った、という形になった。校長先生は、トットちゃんを見ると、いった。「ちょうど、よかった。君に聞きたい、と思ってた事があったんだ」「なあに?」と、トットちゃんは、何か、先生に教えてあげることがあるなんて、うれしい、と思って聞いた。先生は、トットちゃんの頭のリボンを見て、いった。「

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