第28章 (第2/3页)
君の、そのリボン、どこで手に入れたんだい?」それを聞いたときの、トットちゃんの、うれしそうな顔といったらなかった。だって、それは、昨日から結んでいるんだけど、トットちゃんが見つけた、掘り出し物だったからだった。トットちゃんは、そのリボンを、先生に、もっと、よく見えるように近づけると、得意そうな声で、「おばちゃまの、昔の袴に、ついていた。箪笥にしまうとき、見つけて、いただいたの。おばちゃまは、「トットちゃんの目は、早いのね」といった」と報告した。先生は、トットちゃんの話しを聞くと、「そうか。なるほど」と、考えるように、いった。トットちゃん御自慢のリボンは、このあいだ、パパの妹さんの家に遊びに行ったときのことなんだけど、運よく、虫干しで、いろんな着物と一緒に、おばちゃまが、女学生の頃、着てた紫色の袴も、出していたのだった。そして、それを取り込むとき、トットちゃんは、チラリ、と、いい物を見ちゃったのだった。「あれー!!いまの、なあに?」おばちゃ間は、その声に手をを止めた。その、いいもの、というのが、今リボンで、それは、はかまの後ろの部分、ウエストの上あたりの、硬くなってる山型の部分に、ついていたのだった。おばちゃまは、「後ろから見える、おしゃれね。ここに、手で編んだレースをくっつけたり、幅の広いリボンを縫いつけて、大きく蝶々のように結んだりするのが、あの頃の流行だったのよ」と話してくれた。そして、その話を聞きながら、いかにもほしそうに、そのリボンを、ずーっと、なでたり、さわったりしてるトットちゃんを見て、「あげましょう。もう、着ないのだから」といって、はさみで縫いつけてある糸を切って、そのリボンをはずして、トットちゃんにくださった、というのが、いきさつだった。本当に、そのリボンは、美しかった。上等の絹で、バラの花や、いろんな模様が、織り込んである、絵のような、リボンだった。幅が広くてタフタのように張りがあるから、結ぶと、トットちゃんの頭と同じくらいに大きくなった。「外国製」だと、おばちゃまは、いった。トットちゃんは、話をしながら、時々、頭をゆすっては、サヤサヤ、というリボンの、すれる音も、先生に聞かせてあげた。話を聞くと、先生は、少し困ったような顔でいった。「そうか。昨日、ミヨが、トットちゃんのみたいなリボンがほしい、っていうから、ずーっと、自由が丘のリボン屋さんで探したんだけど、ないんだね。そうか、外国のものなんだなあ……」それは、校長先生、というより、娘に、ねだられて、困っている父親の顔だった。それから、先生は、トットちゃんに、いった。「トットちゃん、そのリボン、ミヨが、うるさいから、学校に来るとき、つけないで来てくれると、ありがたいんだけどな。悪いかい、こんなこと、たのんじゃ」トットちゃんは、腕を
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