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第28章

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    第28章 (第3/3页)

組んで、立ったまま、考えた。そして、わりと、すぐ、いった。「いいよ。明日から、つけて来ない」先生は、いった。「そうかい。ありがとう」トットちゃんは、少しは残念だったけど、(校長先生が困ってるんだもの、いいや)と、すぐ決めたのだった。それと、決心した、もう一つの理由は、大人の男の人が……しかも自分の大好きな校長先生が……リボン屋さんで一生懸命、探してる姿を想像したら、可哀そうになったからだった。本当に、トモエでは、こんな風に、年齢と関係なく、お互いの困難を、わかりあい、助けあうことが、いつのまにか、ふつうの事になっていた。次の朝、学校に出かけたあと、トットちゃんの部屋にお掃除に入ったママは、トットちゃんの大切にしてる、大きな熊のぬいぐるみの首に、あのリボンが結んであるのを、見つけた。ママは、どうして、あんなに喜んで結んでたリボンを、トットちゃんが急にやめたのか、不思議に思った。リボンをつけたグレーの熊は、急に派手になって、恐縮してるように、ママには、見えた。

    トットちゃんは、今日、生まれて初めて、戦争で怪我をした兵隊さんのたくさんいる病院に行った。一緒に三十人くらいの小学生が行ったけど、みんな、いろいろの学校から集まってきた知らない子達だった。いつの頃からか、国の命令によるもののようだったけど、一つの小学校から、二人か三人、トモエのように人数の少ない学校は一人とか、そんな風に、お見舞いに行く子が決まると、三十人くらいのグループにまとめて、どこかの学校の先生が引率して、兵隊さんの入っている病院に行く、というようなことが、少しずつ始まっていた。そして、今日は、トモエからは、トットちゃんだった。引率の先生は、めがねをかけて、やせた、どこからの学校の女の先生だった。その先生に連れられて、病院の部屋に入ると、白い寝巻きを着た兵隊さんが、十五人くらい、ベッドの中にいたり、起き上がったりして、むかえてくれた。怪我してるって、度運なのかと、トットちゃんは心配してたけど、みんながニコニコしたり、手を振ったり、元気なので安心した。でも、頭に包帯してる兵隊さんもいた。女の先生は、部屋の、だいたい、真ん中へんに子供を、まとめると、まず、兵隊さんに、「お見舞いに参りました」と、挨拶をした。みんなも、おじぎをした。先生は続けて、「今日は、五月五日で、端午のお節句ですので、「鯉のぼりの歌」を歌いましょう」といって、早速、手を指揮者のように、高く上げ、子供たちに、「さあ、いいですか?三!四!」というと、元気に、手を振り下ろした。顔見知りじゃない子供たちも、みんな、大きな声で、一斉に歌い始めた。いらかの波と 曇の波…… ところが、トットちゃんは、この歌を知らなかった。トモエでは、こういう歌を、教えていなかったから。
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