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第29章

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    第29章 (第3/3页)

ああ、いるよ」お兄さんは、チラリと小学生のトットちゃんを見て、いった。トットちゃんは、ランドセルを、カタカタいわせると、走り始めた。少し学校に遅れそうになったのと、もうひとつ、用事をしなきゃならなかったからだった。その用事というのは、教室につくなり、みんなに聞いてみることだった。「誰か、二十銭、かしてくれない?」ところが、誰も、二十銭を、持っていなかった。長い箱に入ったキャラメルが、十銭だったから、そう大変なお金じゃないけど、誰も持っていなかった。そのとき、ミヨちゃんが、いった。「お父さんか、お母さんに、聞いてみて、あげようか?」こういうとき、ミヨちゃんが校長先生の娘というのは都合がよかった。学校の講堂のつづきに、ミヨちゃんの家があるから、お母さんも、いつも、学校いるようなものだったし。お昼休みになったとき、ミヨちゃんが、トットちゃんを見ると、いった。「お父さんが、かしてもいいけど、何に使うのかって!」トットちゃんは、校長室に出かけて行った。校長先生は、トットちゃんを見ると、めがねをはずして、いった。「なんだい!二十銭いるって?何に使うの?」トットちゃんは、大急ぎで、いった。「病気か、元気か、噛むとわかる、木の皮を、買いたいの」「どこに売ってるんだい?」と校長先生は、興味深げに、聞いた。「駅の前!」トットちゃんは、また、大急ぎで答えた。「そうかい。いいよ。君がほしいんなら。先生にも噛ましてくれよね」校長先生は、そういうと、上着のポケットから、お財布を出すと、二十銭を、トットちゃんの、手のひらに、のせた。「わあー、ありがとう。ママのもらって、お返しします。本なら、いつも買ってくれるけど、ほかのものの時は、聞いてから買うんだけど、でも、元気の木の皮は、みんなが要るから、買ってくれると思うんだ!」そして、学校が終わると、二十銭を、握り締めて、トットちゃんは、駅の前に、いそいだ。お兄さんは、同じような声で叫んでいたけど、トットちゃんが、掌の二十銭を見せると、にっこり笑って、いった。「いい子だね。お父さん、お母さん、よろこぶよ」「ロッキーだって!」と、トットちゃんは、いった。「なんだい、ロッキーって?」と、お兄さんは、トットちゃんに渡す皮を、選びながら、聞いた。「うちの犬!シェパード!」お兄さんは、選ぶ手を止めると、少し考えてから、いった。「犬ねえ。いいだろう。犬だって、にがきゃ、嫌がるから、そしたら、病気だ……」お兄さんは、幅が三センチくらいで、長さが、十五センチくらいの皮を、手にすると、いった。「いいかい?朝、噛んで、苦いと、病気だよ。なんでもなきゃ、元気だぜ」お兄さんが、新聞紙にくるんでくれた、木の皮を、トットちゃんは、大切に握り締めて、家に帰った。それから、トットちゃんは、まず、自分で噛んで見た。
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