第30章 (第2/3页)
ちゃんは、負けないで叫んでいた。「病気かどうか、すぐ、わかるのに、ちょっとだけ、噛んでみて?あんたが、元気だってわかったら、それで、いいんだから!」そして、見知らぬ犬に、その皮を、噛ませる事に、トットちゃんは、成功した。犬の周りを、とびはねながら、トットちゃんは、いった。「よかった。あんたも、元気でーす!!」犬は頭を下げて、恐縮してるような恰好で、どっかに走って、見えなくなった。校長先生の推察どおり、このあと、あの、お兄さんが、二度と、自由が丘に姿を現すことは、なかった。でも、トットちゃんは、毎朝、学校に行く前に、まるで、ビーバーが必死に噛んで、ボロボロになったような皮を、大切そうに机の引き出しから出して噛んでは、「私は、元気でーす!!」といって、家を出て行くのだった。そして、本当に、トットちゃんは、元気なのだった。ありがたいことに。
今日は、新しい生徒がトモエに来た。小学校の生徒にしては、誰よりも背が高く、全体的にも凄く大きかった。小学生というよりは、「中学生のお兄さんみたいだ」と、トットちゃんは思った。着てるものも、みんなと違って、大人のひと、みたいだったし。校長先生は、朝、校庭で、みんなに、この新しい生徒を、こう紹介した。「宮崎君だ。アメリカで生まれて、育ったから、日本語は、あまり上手じゃない。だから、ふつうの学校より、トモエのほうが、友達も、すぐ出来るだろうし、ゆっくり勉強できるんじゃないか、という事で、今日から、みんなと一緒だよ。何年生がいいかなあ。どうだい、タアーちゃん達と一緒の、五年生じゃ」絵の上手な、五年生のタアーちゃんは、いつものようにお兄さんらしく、いった。「いいよ」校長先生は、にっこり笑うと、いった。「日本語は、うまくない、といったけど、英語は得意だからね、教えてもらうといい。だけど、日本の生活に馴れていないから、いろいろ教えてあげてください。アメリカの生活の話も、聞いてごらん。面白いから。じゃ、いいね」宮崎君は、自分より、ずーっと、小さい同級生に、おじぎをした。タアーちゃん達のクラスだけじゃなく、他の子も、みんな、おじぎをしたり、手を振ったりした。お昼休みに、宮崎君が、校長先生の、家のほうに行くと、みんなも、ゾロゾロついて行った。そしたら、宮崎君は、家に上がるとき、靴を履いたまま、畳にあがろうとしたから、みんなは、「靴は、脱ぐの!」と大騒ぎで、教えてあげた。宮崎君は、びっくりしたように、靴を脱ぐと、「ゴメンナサイ」といった。みんなは、口々に、「畳は脱ぐけど、電車の教室と、図書室は、ぬがなくていい」とか、「九品仏のお寺の、お庭はいいけど、本堂は、ぬぐの」とか、教えた。そして、日本人でも、ずーっと外国で生活していると、いろんなことが違うのだと、みんなにも、よくわか
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