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第28章

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     歩くのに疲れると僕は終夜営業の喫茶店に入ってコーヒーを飲んで本を読みながら始発電車を待つ人々で混みあってきた。ウェイターが僕のところにやってきた、すみませんが相席お願いしますと言った。いいですよ、と僕は言った。どうせ僕は本を読んでいるだけだし、前に誰が座ろうが気にもならなかった。

     僕と同席したのは二人の女の子だった。たぶん僕と同じくらいの年だろう。どちらも美人というわけではないが、感じのわるくない女の子たちだった。化粧も服装もごくまともで、朝の五時前に歌舞伎町をうろうろしているようなタイプには見えなかった。きっと何かの事情で終電に乗り遅れるか何かしたのかもしれないなと僕は思った。彼女たちは同席の相手が僕だったことにちょっとほっとしたみたいだった。僕はきちんとした格好をしていたし、夕方に髭も剃っていたし、おまけにトーマス?マンの『魔の山』を一心不乱に読んでいた。

     女の子の一人は大柄で、グレーのヨットバーカーにホワイト?ジーンズをはき、大きなビニール?レザーの鞄を持ち、貝のかたちの大きなイヤリングを両耳につけていた。もう一人は小柄で眼鏡をかけ、格子柄のシャツの上にブルーのカーディガンを着て、指にはターコイズ?ブルーの指輪をはめていた。小柄の方の本奈子のはときどき眼鏡をとって指先で目を押さえるのが癖らしかった。

     彼女たちはどちらもカフェオレとケーキを注文し、何事かを小声で相談しながら時間をかけてケーキを食べ、コーヒーを飲んだ。大柄の女の子は何回か首をひねり、小柄な女の子は何回か首を横に振った。マービン?ゲイやらビージーズやらの音楽が大きな音でかかっていたので話の内容まで聴きとれなかったけれど、どうやら小柄な女の子が悩むか怒るかして、大柄の子がそれをまあまあとなだめているような具合だった。僕は本を読んだり、彼女たちを観察したりを交互にくりかえしていた。

     小柄な女の子がショルダー?バッグを抱えるようにして洗面所に行ってしまうと、大柄な方の女の子が僕に向かって、あのすみません、と言った。僕は本を置いて彼女を観た。

     「このへんにまだお酒飲めるおご御存知ありませんか?」と彼女は言った。

     「朝の五時すぎにですか?」と僕はびっくりして訊きかえした。

     「ええ」

     「ねえ、朝の五時二十分っていえば大邸の人は酔いをさまして家に寝に帰る時間ですよ。」

     「ええ、それはよくわかってはいるんですけれど」と彼女はすごく恥ずかしそうに言った。

     「友だちがどうしてもお酒のみたいっていうんです。

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