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第32章

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    第32章 (第3/3页)

院に行くことになるの。そこまでわかる?」

    「なんとなくかわります。でも、その療養というのは具体的にはどういうことなんでしょう?」

    レイコさんは煙草の煙を吹きだし、オレンジ?ジュースの残りを飲んだ。「ここの生活そのものが療養なのよ。規則正しい生活、運動、外界からの隔離、静けさ、おいしい空気。私たち畑を持ってて殆んど自給自足で暮らしてるし、TVもあいし、ラジオもないし。今流行ってるコミューンみたいなもんよね。もっともここに入るのには結構高いお金かかるからそのへんはコミューンとは違うけど」

    「そんなに高いんですか?」

    「馬鹿高くはあいけど、安くはないわね。だってすごい設備でしょう?場所も広いし、患者の数は少なくスタッフは多いし、私の場合はもうずっと長くいるし、半分スタッフみたいなものだから入院費は実質的には免除されてるから、まあそれはいいんだけど。ねえ、コーヒー飲まない?」

    飲みたいと僕は言った。彼女は煙草を消して席を立ち、カウンターのコーヒー?ウォーマーからふたつのカップにコーヒーを注いで運んできてくれた。彼女は砂糖を入れてスプーンでかきまわし、顔をしかめてそれを飲んだ。

    「この療養所はね、営利企業じゃないのよ。だからまだそれほど高くない入院費でやっていけるの。この土地もある人が全部寄附したのよ。法人を作ってね。昔はこのへん一帯はその人の別荘だったの。二十年くらい前までは。古い屋敷みたでしょう?」

    見た、と僕は言った。

    「昔は建物もあそこしかなくて、あそこに患者をあつめてグループ療養してたの。つまりどしてそういうこと始めたかというとね、その人の息子さんがやはり精神病の傾向があって、ある専門医がその人にグループ療養を勧めたわけ。人里はなれたところでみんな助け合いながら肉体労働をして暮らし、そこに医者が加わってアドバイスし、状況をチェックすることによってある種の病いを治癒することが可能だというのがその医師の理論だったの。そういう風にしてここは始まったのよ。それがだんだん大きくなって、法人になって、農場も広くなって、本館も五年前にできて」

    「治療の効果はあったわけですね」

    「ええ、もちろん万病に効くってわけでもないし、よくならない人も沢山いるわよ。でも他では駄目だった人がずいぶんたくさんここでよくなって回復して出て行ったのよ。ここのいちばん良いところはね、なんなが助け合うことなの。みんな自分が不完全だということを知っているから、お互いに助け合おうとするの。他のところはそうじゃないのよ、残念ながら。
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