第45章 (第2/3页)
僕をさかなにした冗談を言い合っているのを見ながら、それ以上昨夜の出来事について考えるのをあきらめてパンを食べ、コーヒーを飲んだ。
朝食が終ると二人はこれから鳥小屋に餌をやりに行くと言ったので、僕もついていくことにした。二人は作業用のジーンズとシャツに着替え、白い長靴をはいた。鳥小屋はテニス?コートの裏のちょっとした公園の中にあって、ニワトリから鳩から、孔雀、オウムにいたる様々な鳥がそこに入っていた。まわりには花壇があり、植え込みがあり、ベンチがあった。やはり患者らしい二人の男が通路に落ちた葉をほうきで集めていた。どちらの男も四十から五十のあいだに見えた。レイコさんと直子はその二人のところに行って朝のあいさつをし、レイコさんはまた何か冗談を言って二人の男を笑わせた。花壇にはコスモスの花が咲き、植込みは念入りに刈り揃えられていた。レイコさんの姿を見ると、鳥たちはキイキイという声を上げながら檻の中をとびまわった。
彼女たちは鳥小屋のとなりにある小さな納屋の中に入って餌の袋とゴム?ホースを出してきた。直子がホースを蛇口につなぎ、水道の栓をひねった。そして鳥が外に出ないように注意しながら檻の中に入って汚物を洗いおとし、レイコさんがデッキ?ブラシでごしごしと床をこすった。水しぶきが太陽の光に眩しく輝き、孔雀たちはそのはねをよけて檻の中をばたばたと走って逃げた。七面鳥は首を上げて気むずかしい老人のような目で僕を睨みつけ、オウムは横木の上で不快そうに大きな音を立てて羽ばたきした。レイコさんはオウムに向って猫の鳴き真似をすると、オウムは隅の方に寄って肩をひそめていたが、少しすると「アリガト、キチガイ、クソタレ」と叫んだ。
「誰がああいうの教えたのよね」とため息をつきながら直子が言った。
「私じゃないわよ。私そういう差別用語教えたりしないもの」とレイコさんは言った。そしてまた猫の鳴き真似をした。オウムは黙り込んだ。
「このヒト、一度猫にひどい目にあわされたもんだから、猫が怖くって怖くってしようがないのよ」とレイコさんは笑って言った。
掃除が終ると二人は掃除用具を置いて、それからそれぞれの餌箱に餌を入れていった。七面鳥はぺちゃぺちゃと床にたまった水をはねかえしながらやってきて餌箱に顔をつっこみ、直子がお尻を叩いても委細かまわず夢中で餌を貪り食べていた。
「毎朝これをやっているの?」と僕は直子に訊いた。
「そうよ、新入りの女の人はだいたいこれやるの。簡単だから。ウサギみたい?」
見たい、と僕は言った。鳥小屋の裏にウサギ小屋があり、十匹ほどのウ
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