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第49章

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    第49章 (第2/3页)

かったのよ。私は『ねえ何してるの?もうごはんよ』って声かけたの。でもそういってから彼女の背がいつもより高くなってることに気づいたの。それで、あれどうしたんだろうってちょっと不思議に思ったの。ハイヒールはいてるのか、それとも何かの台の上に乗ってるのかしらって、そして近づいていって声をかけようとした時にはっと気がついたのよ。首の上にひもがついていることにね。天井のはりからまっすぐにひもが下っていて――それがね、本当にびっくりするくらいまっすぐなのよ、まるで定規を使って空間にピッと線を引いたみたいに。お姉さんは白いブラウス着ていて――そう、ちょうど今私が着てるようなシンプルなの――グレーのスカートはいて、足の先がバレエの爪立てみたいにキュッとのびていて、床と足の指先のあいだに二十センチくらいの何もない空間があいてたの。私、そういうのをこと細かに全部見ちゃったのよ。顔も。顔も見ちゃったの。見ないわけには行かなかったのよ。私すぐ下に行ってお母さんに知らせなくちゃ、叫ばなくちゃと思ったわ。でも体の方が言うことをきかないのよ。私の意識とは別に勝手に体の方が動いちゃうのよ。私の意識は早く下にいかなきゃと思っているのに、体の方は勝手にお姉さんの体をひもから外そうとしているのよ。でももちろんそんなこと子供の力でできるわけないし、私そこで五、六分ぼおっとしていたと思うの、放心状態で。何が何やらわけがわからなくて。体の中の何かが死んでしまったみたいで。お母さんが『何してるのよ?』って見に来るまで、ずっと私そこにいたのよ、お姉さんと一緒に。その暗くて冷たいところに……」

    直子は首を振った。

    「それから三日間、私はひとことも口がきけなかったの。ベッドの中で死んだみたいに、目だけ開けてじっとしていて。何がなんだか全然わからなくて」直子は僕の腕に身を寄せた。「手紙に書いたでしょ?私はあなたが考えているよりずっと不完全な人間なんだって。あなたが思っているより私はずっと病んでいるし、その根はずっと深いのよ。だからもし先に行けるものならあなた一人で先に行っちゃってほしいの。私を待たないで。他の女の子と寝たいのなら寝て。私のことを考えて遠慮したりしないで、どんどん自分の好きなことをして。そうしないと私はあなたを道づれにしちゃうかもしれないし、私、たとえ何があってもそれだけはしたくないのよ。あなたの人生の邪魔をしたくないの。誰の人生の邪魔もしたくないの。さっきも言ったようにときどき会いに来て、そして私のことをいつまでも覚えていて。私が望むのはそれだけなのよ」

    「僕は望むのはそれだけじゃないよ」と僕は言った。

    「でも私とかかわりあうことであなたは自分の人生を無駄にしてるわ

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