第57章 (第3/3页)
私につきあってくれる?」
「いいよ」
「日曜日の朝にあなたの寮に迎えに行くわよ。時間ちょっとはっきりわからないけど。かまわない?」
「どうぞ。かまわないよ。」と僕は言った。
「ねえ、ワタナベ君。私が今何にをしたがっているわかる?」
「さあね、想像もつかないね」
「広いふかふかしたベットに横になりたいの、まず」と緑は言った。「すごく気持がよくて酔払っていて、まわりにはロバのウンコなんて全然なくて、となりにはあなたが寝ている。そしてちょっとずつ私の服が脱がせる。すごくやさしく。お母さんが小さな子供の服を脱がせるときみたいに、そっと」
「ふむ」と僕は言った。
「私途中まで気持良いなあと思ってぼんやりとしてるの。でもね、ほら、ふと我に返って『だめよ、ワタナベ君!』って叫ぶの。『私ワタナベ君のこと好きだけど、私には他につきあってる人人がいるし、そんなことできないの。私そういうのけっこう堅いのよ。だからやめて、お願い』って言うの。でもあなたやめないの」
「やめるよ、僕は」
「知ってるわよ。でもこれは幻想シーンなの。だからこれはこれでいいのよ」と緑は言った。「そして私にばっちり見せつけるのよ、あれを。そそり立ったのを。私すぐ目を伏せるんだけど、それでもちらっとみえちゃうのよね。そして言うの、『駄目よ、本当に駄目、そんなに大きくて固いのとても入らないわ』って」
「そんなに大きくないよ。普通だよ」
「いいのよ、べつに。幻想なんだから。するとね、あなたはすごく哀しそうな顔をするの。そして私、可哀そうだから慰めてあげるの。よしよし、可哀そうにって」
「それがつまり君が今やりたいことなの?」
「そうよ」
「やれやれ」と僕は言った。
全部で五杯ずつウォッカ?トニックを飲んでから我々は店を出た。僕が金を払うとすると緑は僕の手をぴしゃっと叩いて払いのけ、財布からしわひとつない一万円札をだして勘定を払った。
「いいのよ、アルバイトのお金入ったし、それに私が誘ったんだもの」と緑は言った。「もちろんあなたが筋金入りのファシストで女に酒なんかおごられたくないと思ってるんなら話はべつだけど」
「いや、そうは思わないけど」
「それに入れさせてもあげなかったし」
「固くて大きいから」と僕は言った。