返回

第66章

首页
关灯
护眼
字:
上一章 回目录 下一页 进书架
最新网址:m.llskw.org
    第66章 (第1/3页)

すると彼もそれを欲しがってぽりぽりと食べた。でも結局その五日後の朝に彼は亡くなってしまった。僕は彼がキウリを噛むときのポリ、ポリという小さな音を今でもよく覚えている。人の死というものは小さな奇妙な思い出をあとに残していくものだ、と。

    朝目を覚ますと僕はベットの中で君とレイコさんと鳥小屋のことを考えると僕は書いた。孔雀や鴉やオウムや七面鳥、そしてウサギのことを。雨の朝に君たちが着ていたフードつきの黄色い雨合羽のことも覚えています。あたたかいベットの中で君のことを考えているのはとても気持の良いものです。まるで僕のとなりに君がいて、体を丸めてぐっすり眠っているような気がします。そしてそれがもし本当だったらどんなに素敵だろうと思います。

    ときどきひどく淋しい気持になることはあるにせよ、僕はおおむね元気に生きています。君が毎朝鳥の世話をしたり畑仕事をしたりするように、僕も毎朝僕自身のねじを巻いています。ベットから出て歯を磨いて、髭を剃って、朝食を食べて、服を着がえて、寮の玄関を出て大学につくまでに僕はだいたい三十六回くらいコリコリとねじを巻きます。さあ今日も一日きちんと生きようと思うわけです。自分では気がつかなかったけれど、僕は最近よく一人言を言うそうです。たぶんねじを巻きながらぶつぶつと何か言ってるのでしょう。

    君に会えないのは辛いけれど、もし君がいなかったら僕の東京での生活はもっとひどいことになっていたと思う。朝ベットの中で君のことを考えればこそ、さあねじを巻いてきちんと生きていかなくちゃとと僕は思うのです。君がそこできちんとやっているように僕もここできちんとやっていかなくちゃと思うのです。

    でも今日は日曜日でね、ねじを巻かない朝です。洗濯をすませてしまって、今は部屋で手紙を書いています。この手紙を書き終えて切手を貼ってポストに入れてしまえば夕方まで何もありません。日曜には勉強もしません。僕は平日の講義のあいまに図書室でかなりしっかりと勉強しているので、日曜日には何もすることがないのです。日曜日の午後は静かで平和で、そして孤独です。

    僕は一人で本を読んだり音楽を聴いたりしています。君が東京にいた頃の日曜日に二人で歩いた道筋をひとつひとつ思いだしてみることもあります。君が着ていた服なんかもずいぶんはっきりと思いだせます。日曜日の午後には僕は本当にいろんなことを思いだすのです。

    レイコさんによろしく。僕は夜になると彼女のギターがとてもなつかしくなります。

    僕は手紙を書いてしまうとそれを二百メートルほど離れたところにあるポストに入れ、近くのパン屋で

    (本章未完,请点击下一页继续阅读)
最新网址:m.llskw.org
上一章 回目录 下一页 存书签