第82章 (第2/3页)
この前私を寝かしつけてくれた時なんか本当はすごくやりたかったんじゃない?」
「まあ、そうだろうね」
「でもやらなかったのね?」
「君は今、僕のいちばん大事な友だちだし、君を失いたくないからね」と僕は言った。
「私、あのときあなたが迫ってきてもたぶん拒否できなかったわよ。あのときすごく参ってたから」
「でも僕のは固くて大きいよ」
彼女はにっこり笑って、僕の手首にそっと手を触れた。「私、少し前からあなたのこと信じようって決めたの。百パーセント。だからあのときだって私、安心しきってぐっすり眠っちゃったの。あなたとなら大丈夫だ、安心していいって。ぐっすり眠ってたでしょう?私」
「うん。たしかに」と僕は言った。
「そうしてね、もし逆にあなたが私に向って『おい緑、俺とやろう。そうすれば何もかもうまく行くよ。だから俺とやろう』って言ったら、私たぶんやっちゃうと思うの。でもこういうこと言ったからって、私があなたのことを誘惑してるとか、からかって刺激してるとかそんな風には思わないでね。私はただ自分の感じていることをそのまま正直にあなたに伝えたかっただけなのよ」
「わかってるよ」と僕は言った。
我々はランチを食べながら課目登録のカードを見せあって、二つの講義を共通して登録していることを発見した。週に二回彼女に顔を合わせることになる。それから彼女は自分の生活のことを話した。彼女のお姉さんも彼女もしばらくのあいだアパート暮しになじめなかった。何故ならそれは彼女たちのそれまでの人生に比べてあまりにも楽だったからだ。自分たちは誰かの看病をしたり、店を手伝ったりしながら毎日を忙しく送ることに馴れてしまっていたのだ、と緑は言った。
「でも最近になってこれでいいんだと思えるようになってきたのよ」と緑は言った。「これが私たち自身のための本来の生活なんだって。だから誰かに遠慮することもなく思う存分手足をのばせばいいんだって。でもそれはすごく落ちつかなかったのよ。体が二、三センチ宙に浮いているみたいでね、嘘だ、こんな楽な人生が現実の人生として存在するわけないといった気がしていたの。今にどんでん返しがあるに違いないって二人で緊張してたの」
「苦労性の姉妹なんだね」と僕笑って言った。
「これまでが過酷すぎたのよ」と緑は言った。「でもいいの。私たち、そのぶんをこれから先でしっかりとり戻してやるの」
「まあ君たちならやれそうな気がするな」と
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