第83章 (第2/3页)
一人になりたがってるみたいだから一人にしてあげます。一所懸命いろんなことを心ゆくまで考えていなさい。
でも私はあなたに対してまるっきり腹を立ててるというわけではありません。私はただただ淋しいのです。だってあなたは私にいろいろと親切にしてくれたのに私があなたにしてあげられることは何もないみたいだからです。あなたはいつも自分の世界に閉じこもっていて、私がこんこん、ワタナベ君、こんこんとノックしてもちょっと目を上げるだけで、またすぐもと戻ってしまうみたいです。
今コーラを持ってあなたが戻って来ました。考えごとしながら歩いているみたいで、転べばいいのにと私は思ってたのに転びませんでした。あなたは今隣りに座ってごくごくとコーラを飲んでいます。コーラを買って戻ってきたときに『あれ、髪型変ったんだね』と気がついてくれるかなと思って期待していたのですが駄目でした。もし気がついてくれたらこんな手紙びりびりと破って、『ねえ、あなたのところに行きましょう。おししい晩ごはん作ってあげる、それから仲良く一緒に寝ましょう』って言えたのに。でもあなたは鉄板みたいに無神経です。さよなら。
P.S.
この次教室で会っても話かけないで下さい」
吉祥寺の駅から緑のアパートに電話をかけてみたが誰も出なかった。とくにやることもなかったので、僕は吉祥寺の町を歩いて、大学に通いながらやれるアルバイトの口を探してみた。僕は土?日が一日あいていて、月?水?木は夕方の五時から働くことができたが、僕のそんなスケジュールにぱったりと合致する仕事というのはそう簡単に見つからなかった。僕はあきらめて家に戻り、夕食の買物をするついでにまた緑に電話をかけてみた。お姉さんが電話に出て、緑はまだ帰ってないし、いつ帰るかはちょっとわからないと言った。僕は礼を言って電話を切った。
夕食のあとで緑に手紙を書こうとしたが何度書きなおしてもうまく書けなかったので、結局直子に手紙を書くことにした。
春がやってきてまた新しい学年が始まったことを僕は書いた。君に会えなくてとても淋しい、たとえどのようなかたちにせよ君に会いたかったし、話がしたかった。しかしいずれにせよ、僕は強くなろうと決心した。それ以外に僕のとる道はないように思えるからだ、と僕は書いた。
「それからこれは僕自身の問題であって、君にとってはあるいはどうでもいいことかもしれないけれど、僕はもう誰とも寝ていません。君が僕に触れてくれていたときのことを忘れたくないからです。あれは僕にとっては、君が考えている以上に重要なことなのです。僕はいつも
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